1.北方領土返還要求運動と北方領土隣接地域の振興策について
(1)北方領土返還要求運動原点の地として今すべきこと
【質問要旨】
現在、ロシアが北方四島の実効支配を強く国内外にアピールしている状況により、一枚岩でなければならない元島民や市民の想いに綻びが生じていると感じる。今こそ、ふるさとの早期返還を訴え続けてきた元島民の想いを我々の力に変え、市長のリーダーシップを発揮し、心を一つに、今すべきことを、メッセージ性をもって見える行動・活動として展開すべきと考えるが、市長の見解を伺う。
【市長答弁】
・北方領土問題の発生から70年の節目を迎えた現在、元島民の減少及び高齢化が加速的に進み、さらには、北方領土問題に起因する隣接地域の経済の低迷は著しい状況にあると認識している。
・さらに、ロシアにおいては、新たな北方領土の整備計画が発表され、また、ロシア閣僚が相次いで北方領土を訪問するなど、北方領土の実効支配を正当化し、かつ、強化するような動きが連日のように報道されている。
・根室市はこれまでも、国の外交交渉を後押しするため、全国の先頭に立ち、様々な啓発運動に取り組んできた。
・残念ながら未だに解決の兆しは見えず、元島民をはじめとする返還運動関係者が疲労感を抱いている状況にあることも認識いる。
・私の役割は、「原点の地」のリーダーとして、根室市はもとより、隣接地域住民の北方領土返還の総意を結集し、国等に対し、領土問題の早期解決を粘り強く訴え続けていくことであると考えている。
・引き続き、隣接地域の住民皆様との情報共有に努め、国民の意思統一を図るための世論喚起や、効果的な啓発活動及び啓発行動に取り組む。
【再質問1】
今すべきこととして、市長は、根室市、隣接地域の北方領土返還の総意を結集、国に対して早期解決を粘り強く訴え続けること世論喚起、効果的な啓発活動及び啓発行動への取り組みが必要とうことですが?もう少し具体的にお聞きしたい。
【再質問1市長答弁】
・根室市、そして隣接地域として、地域住民に対する積極的な情報提供に努め、返還要求運動の方向性や隣接地域の将来展望など考え方を共有しながら、返還要求運動に取り組むとともに、あらゆる機会をとらえ、国等に地元の想いを訴えていきたい。
・北方領土問題は、元島民が一人でも多くいる内に、一日も早い解決が最も望まれるところである。
・元島民の高齢化が著しい現実の中、返還要求運動の灯を絶やさないためにも、次代を担う後継者の育成が喫緊の課題であり積極的な対策に取り組む。
【再質問2】
戦後70年間の経過による疲労感、閉塞感といったものを打破していくためには、地元根室市がリーダーシップを発揮しなければならないのでは?また、積極的に政策提言するくらいでなければ、なにも変わらないし、変えられないのでは? と考えますが、市長の見解を改めにお聞きしたい。
【再質問2市長答弁】
根室市のリーダーシップについて
・根室市は「北方領土返還要求運動原点の地」として、全国の先頭に立って返還要求運動に取り組んできた。
・今後も返還要求運動のリーダーとして、率先して、あらゆる啓発事業を、粘り強く実施していく責務があると認識している。
・根室市は「北方領土隣接地域」のリーダーとしての自覚を持ち、北方領土問題の存在によって被っている大きな弊害を取り除くために、積極的に取り組んでいかなければならない。
・根室市民はもとより、管内4町の住民皆様と一丸となって、引き続き、あらゆる困難に立ち向かっていく決意と覚悟を持って対応していかなければならない。
【意見】
北方領土に関する世論啓発については、根室市にどれだけ関心が集まるか、また、集めるかが重要であると考える。 情報発信が非常に重要であり、新たな事業の展開も必要であり、根室港の入出港の様子を動画等でリアルタイムに発信するなど、SNS等ICTを活用した情報発信について、もう少し積極的に取り組んでもよいのではないか? 検討いただきたい。
【再質問3】
返還要求運動の原点の地として、また、四島交流事業の窓口のまちとして、市民が参加する、参加できる返還運動・交流事業の充実が必要と考えるが、改めて、市長のお考えを伺いたい。
【再質問3 市長答弁】
・「北方領土返還要求運動原点の地」として、根室市民一丸となった返還要求運動の展開が重要である。
・根室市民は、北方領土問題が発生して以来、返還要求運動に取り組んできましたが、問題解決の糸口すら見えない現実から、市民の中には疲労感や焦燥感、さらには絶望感までもが見受けられる状況であると感じています。
・北方領土問題の長期化によって市中経済の低迷が続き、住民生活に影響を及ぼしていることも、その原因の一つであると認識をいたしている。
・返還要求運動を市民一丸となって展開していくため、これまでも市民が参加しやすい、イベント性の高い啓発事業となるよう工夫してきたが、今後も幅広い返還運動関係者の意見を伺いながら対応する。
【再質問4】
四島交流等の事業についても、継続していくことが重要であり、そのためにも事業内容や環境の充実・拡充が必要と考える。私からも、少し提案させていただきたいと思います。
・「えとぴりか」のWi-Fi環境整備
四島交流事業において、現状では、「えとぴりか」が中間ラインを越えた後は、SNSなどによる情報発信はしないようにというルールになっています。
理由は、ロシア側の電話回線を使用することになるからと聞いております。
四島交流事業の様子をもっと多くの国民に理解してもらうためには、SNS等を使ってリアルタイムに情報発信することも一つの手段であり、若い世代にこの問題に関心をもっていただくためにも、大いに活用すべきです。
そこで、「えとぴりか」から情報発信できるようなことを検討してもいいのではないか?「えとぴりか」の運行は根室市の所管ではありませんが、四島交流の最前線でいつも見ていて、感じているからこそ言えることもあると思います。
・四島在住の中高生による隣接地域への短期留学
若い世代の関心を高める手段として、四島在住の中高生の夏休み期間中の短期留学受入などを根室市、四町ではじめてみてはどうでしょうか?
学校の協力、ホームスティ家庭の協力等々ハードルはあるとは思いますが、若い世代の交流は重要であり、相互理解を深めることお互いの文化をしること、子供たちの交流の輪を広げる取り組みは啓発事業としても効果あるのではないでしょうか?
次世代を担う中高生にこの地域の思いを肌で感じてもらう取り組みとしても重要と考えます。
その他意見として
・元島民と一般市民との交流機会の拡充
・四島在住ロシア人と一般市民との交流機会の充実
・返還運動、交流事業に尽力された方に対する感謝状贈呈
・市民の関心度調査の定期的な実施
等を提案させていだきたいと思います。
【再質問4 市長答弁】
四島交流事業等の充実・拡充について
・四島交流事業の継続、及び、事業内容の充実は重要であると認識している。
・現在、国においても、四島交流事業の見直しについて検討が進められており、本年度事業の実績を踏まえ、その方向性が示されることとなっている。
・提案のありました取り組みについては、内容を精査させていただき、市としても四島交流事業の充実・強化に向け、引き続き、関係機関と調整を進めめる。
※返還運動、交流事業に尽力された方に対する感謝状贈呈については、過去に市から提案した経緯があるが、当事、国がこの事業に対する表彰規定を設けている関係から、好ましくないとされた。戦後70年という年月が経過していること等も踏まえ、再度検討してみたい。
以上
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