2月3日から6日まで会派で先進地視察を行いました。
視察先は、宮崎県延岡市、佐賀県武雄市の2箇所です。
宮崎県延岡市は、地域医療を守るための条例の制定経過、医師に関する情報収集の方法や医療機関の新規開業促進に関する助成制度を視察。佐賀県武雄市は、図書館の指定管理者制度導入と市民病院の民間委譲に関する経過と現状について視察。
延岡市の「地域医療を守るための条例」は全国初の取り組みで、私が議員なったH21年9月に制定された条例で、当時、最初の議会質問でも取り上げたテーマでしたので、詳しい経過やその後と取り組みのお話が聞け、大変参考になりました。
また、佐賀県武雄市は、図書館の運営をTSUTAYAが行い、公設の図書館にスターバックスが入ったことなどテレビでも大きく取り上げられ、病院の民間委譲についても、民間委譲の是非を問い市長が辞職。出直し選挙があって、現在に至っているというお話も聞いておりましたので、その詳細についてお話を聞き、自分たちの取り組みの甘さを反省させられる視察でした。
記録もとってきましたが、会派としての報告になりますので、別のかたちで皆さんにはご報告したいと思いますが、それぞれの視察先の私の感想について(会派報告として書いたものですが)のみ報告したいと思います。
※視察団体が多く三重県議会と一緒に図書館についての説明を聞きました。
宮崎県延岡市の地域医療を守る条例について
平成16年にスタートした新医師臨床研修制度、その影響を受け地方の公立病院から医師の引き揚げがはじまり、常勤医師が減少。その少ない医師体制で夜間救急を担わざるを得ないなか、その状況を知らない市民のコンビ二受診の問題等で医師が疲弊し、医師の引き上げに拍車がかかり、地域医療は崩壊。
延岡市も根室市もまったく同じ状況です。
延岡市は各診療科の休診、6名の医師が退職という危機的な状況で2つの市民組織ができ、署名活動、その後、直ぐに6名の医師の補充ができましたが、地域を守るためには活動の継続が必要であり、市、市民、医師会等地域がバラバラではダメで、共通の理念をもって取り組むこと、また、医師招へいのためには医療崩壊地域のイメージ払しょくが必要であり、地域がまちをあげて、地域医療を守るための取りくみを行うことを、全国の医師へのメッセージとして条例化を進めました。 ※延岡市の病院は県立病院。
この条例は、地域医療を守ることだけではなく健康長寿を目指すことも目標に掲げています。
状況的には根室市の方がもっと厳しい環境にあると思いますが、延岡市に比べ、私たちには危機意識が足りなかったものと感じました。今回の視察で、お聞きした延岡市の取り組みの中に多くのヒントがあると思います。医師、医療従事者の招へいが大変厳しい状況にあり、市立病院の経営状況の改善のためにも、安定的な診療体制の整備、充実が必要であり、地域全体で、今一度、地域医療の在るべき姿を見直すべきであると、改めて、考えさせられた視察でありました。
今後の会派活動、議員活動に活かしていきたいと思います。
佐賀県武雄市 図書館への指定管理者制度導入及び市立病院の民間譲渡について
図書館に関しては、利用する市民の立場に立つと「もっと多くの方に利用していただくためには365日年中無休、開館時間は午前9時から午後9時まで」という発想になるわけですが、現行の行政のシステムではこれは実現が難しく、多額の運営経費が必要になります。 「行政ができなれば民間の力で」まさにこの考え方が、指定管理者制度導入には必要なのだと思いますが、根室市がすすめている指定管理者制度の発想とはかなりのレベルの違いを感じました。
行政事務の効率化という行政側からの目線では、施設の管理をどうするか、そのコストをどう削減するかという、視点・レベルでいいのかもしれません。今回の武雄市の視点・レベルは違いました。「市民が望む施設のあり方、機能は何なのか」、「市民が望む機能を実現するためにどの様な手段をとるべきか。」といったレベルでの発想。
その実現が、行政の力、ルールでできないのなら、民間の力を導入。それが指定管理者制度の導入。この発想は根室市には欠如していると感じたました。 我々、議会もこのような発想・考え方をもって今後の行政サービスの在るべき姿をチェックする姿勢、自ら提案する取り組みに心がけることが必要と考えます。
病院の民間委譲については、医療圏域のサイズ、隣接する医療圏域との関係等比較が難しく、単純に判断することはできませんが、一番感じたところは、累積欠損金が15億近くなったことに危機感を持たれ、「累積金をなんとかしなければ市がつぶれる。」という思いと改革に取り組んだ姿勢。
根室市はこれまで現金支出が伴わないとして累積欠損金に目を向けず、不良債務を発生させない取り組みで良しとしてきました。 大きな違いです。
新武雄病院(民間)になってからの収支に関する資料提供はありませんでしたが、質疑のなかで説明があり、医業収益は35億から40億とのこと。直営時代は最大で15億8千万円であり同じ病床数(135床)でありながら、大きく改善されています。
※市立根室病院は131床+感染症病床4床
直営時代の倍以上の収益を上げる新武雄病院。リハビリ部門が強化(50人近い専門スタッフ(PT・OT・ST)の配置)され、関連病院との連携と診療内容の分担等、超高齢化を迎える地域に必要な医療を見据えた経営方針等々参考とすべき点も多々ありました。
当市も病院経営について、危機感をもって取り組む姿勢、地域に必要な医療と第3次医療圏、近隣公立病院、市内開業医との連携、更には、保健、福祉、介護部門との連携・役割分担を精査するなど、今一度、地域ビジョン作りに取り組む必要性を感じました。
会派においても、今回の視察研修を踏まえ、病院経営のあり方、或いは、指定管理者制度について考えていきたいと思っております。
ゆったりとした待合スペース 総工費約53億円。
外来待合もゆったりしたスペース。
病院屋上に整備されたヘリポート。
以上
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