地域医療問題に関する研修会に参加
7月14日(月)、15(火)の二日間、会派の政務活動の一環として地域医療問題をテーマとした研修会を受講しました。
最近、なにかと話題になっている政務活動費ですが、根室市議会は、現在、年間24万円の政務活動費が利用できます。
会派に所属している議員の政務活動費は、個人でははなく、会派に対して交付されます。
これまでは会派所属議員全員で同一目的で視察を行っていましたが、創新では、8名のスケジュール調整も難しいこともあり、各種研修会に個別に派遣し、その研修成果について会派報告を行い情報共有を図る事がより議員活動にとっても効果的であるとし、個別研修も行うこととしました。
今回は、地域医療の問題について、地方議会研修会主催のセミナーが開催されましたので、会派を代表して出席させていただきました。
講師は城西大学経済学部伊関教授。地域医療再生への処方箋I(理論編)、Ⅱ(実践編)というテーマで、地域医療に起こっている課題とその解決に向けての取り組みと超高齢化を迎える日本の医療・福祉・介護等社会と社会保障のあり方について、講義形式で判りやすい事例まじえた2日間の研修でした。
まとめた資料は別添PDFファイルのとおりです。
※いつもの様に会場で打ち込んだデータ(メモ)を、頂いた資料を基に整理したものです。
※ボリュームがありますが、今回は非常に濃いお話ばかりでしたので、病院問題に取り組んで行く上で活用できるようにと思い、整理してみました。
※あくまでもメモです。ご了承下さい。
以下は記録の抜粋です。 重要と感じた点です。
1日目の研修会より
●自治体病院事務職員の問題点
病院経営に求められる知識が足りない。
病院経営に求められるマインド(意識)が不足している。(病院に向かない、嫌い)
役所の人事ローテーションにより数年で異動させられる。
↓
とにかく優秀な事務を配置して、ちゃんとやれば2億、3億収入が上がる。
エース級を張り付けること。安定的に仕事をやらせる。
勝ち抜く病院にしなければならない。
優秀な事務を配置するしかない。
●自治体病院が生き残りのために、自治体職員の病院経営の勉強と理解は絶対に必要。
●公設公営の病院でも病院経営者の権利を高め、医療を行う上で無意味な行政上のルールを廃止し、メリハリのある資源配分、意思決定のスピードアップを図り、職員も既得権にしがみつかず、当事者意識をもてって働く。
→利益も改善し安定的に医療を継続できる
●公設「自立運営」運営
高い医療の質を維持すること「自立運営」が重要である。
お役所仕事からの脱却できれば、どの様な経営形態でもかまわない。
当事者意識をもってほしい。職員一人ひとりが当事者意識を持っていることが重要。
自らの病院と考えること、出来ることをすること。
経営指標を学び、何時、病院経営が破綻してもおかしくないことを意識すること。
●医師が勤務したくなるような地域にするためには
・行う医療を明確に (あれもこれも求めない、出来る医師でできることを)
・過酷過ぎない勤務 (ベレランの先生)
・医療技術を学べる (若手の先生)
・専門医の資格が取れる施設
・適切な報酬
・住民の感謝、適切な受診行動
●公共事業と地域医療の違い(図解)
公共事業の場合、行政が一方的に降ろし、住民はお客様、行動は求められない
地域医療は住民が当事者であり、住民自ら行動を求められ、住民が繋がることが必要
●高齢化が進むこれからの地域医療をいかに維持していくか知恵を絞っていかなければならない。
議員は 一緒になって作ってゆく地域医療のキーマンとして活躍する存在。
行政と住民を繋ぐ、住民と医療者を繋ぐ、場合によっては医療者と行政を繋ぐ、議会・議員の役割が大きいと思う。
場合によっては議会が地域を守るために伝える役割があると思う。
議員がアクティブで地域医療を守ろうとしているところは、いっぱいある。
隠岐では全員参加の委員会をつくり毎月医療を勉強し、講演会も企画している。
●これから医療は今以上に重要な地域課題になることは確実。
どの様な政策展開をすべきか、専門性が必要であり、勉強して行動を!
●今、地域に起きていて、これから一層進むこと
・国際化・情報化の進展と社会の二極化
・急激な人口の高齢化
・地域での個の孤立の拡大
・国・地方政府の機能劣化
●国際化・情報化の進展と社会の二極化
国の境目を超えて国際化・情報化が進む
人・物・情報・資本は国の壁を越えて自由に移動する時代に
同時にITの進歩は我々の生活を大きく変えた
国際化・情報化は我々に生活の豊かさを与えてくれたが、同時に不の側面が無視できないほど大きくなっている。
TPP 自由診療・混合診療の問題、国民皆保険制度への影響
国際化や情報化は社会の二極化を加速化させる。
自由競争の社会は、社会の二極化、格差を生む。
日本はこれまで格差が少なく、安定していた。
いかに国際化、情報化を進めつつ、日本の安定を守っていくのか
※国だけに任せればおかしくなる、生活に密着した地方の力が必要、しっかり発言をしていくべき
二日目の研修会より
●急激な高齢化
特に都市部を中心に高齢化が進展する。
高齢化はまだはじまっていない。これからはじまる!
※高齢者が増えると
年金がふれえる
医療費が増える
介護がふれる。 ※2025年問題(医療と介護)
まだ、本格的な高齢化がはじまっていない
これから10年経つと大変である。
2025年への対策はまだどこの市町村も動いていない。
超高齢化社会への対応、対策 市町村レベルで動いているところない。
●高齢化のピークでおきること?
医療、介護の絶対的資源不足
医療、福祉、年金の支出の増大
税収の減収
●地域における個人の孤立の拡大
個人の孤立化で何が起きるか?
悲惨な事件が増大、社会不安が増大、行政不信が増大、地域住民の相互不信、社会的コスト・行政コストが増大
●国や地方自治体の機能劣化
社会不安が深まる一方、国や地方自治体、政治家・行政職員が共に機能劣化
●高齢化の問題、社会の孤立化の問題もコミュニケーションの断絶という問題、それを繋ぎ止める為には人でが必要。しかし人を増やさない。
●公務員は世界的にみると少ない
●高齢化対策のための職員をふやすべき
保健師、臨床心理士、社会福祉士等コミュニケーションして社会問題を解決するような担当職員は増やさなければならない。
孤立させ無駄な社会コストをかけることになる。
必要な人材を雇う時代。
●批判されるばかりの公務員が、リスクをもって新しい仕事をするであろうか?必要以上のことをしない、事なかれの公務員ばかりになる。
成功体験を重ね、社会問題にどんどんチャレンジする活きのいい公務員を増やすべき。
●高齢化を考えると、地域包括ケア・保健医療福祉分野に役所のナンバーワン、ナンバーツーを張り付けることが必要な時代。
今までは、行革、財政、人事に優秀な人材をはりつけていた。
これからは社会問題をいかに解決するか、地域に出て行くかが重要な時代。そこに優秀な人材を配置するか育てなければならない。
積極的に取り組んでいるところはまだない。医療・福祉系が重要になる。
●社会問題解決には人が必要
コミュニケーションは省略できない。
ITがどんなに進んでも最後はFACE TO FACE
言葉の豊かな、言葉を伝える事のできる公務員を増やさなければならない。
共感を生み出し一緒になって変えていこうという言葉が豊かな公務員をもっと増やさなければ地域は荒れてくる。
●地域の最重要課題は高齢者をいかに支えるか
激増する高齢者の生活をいかに支え、看取っていくかである。
65-90歳台の看取りをいかにしていくかが地域にとって重要な時代。
これがはじまる。
●日本の高齢化超、この10年ではじまり その後 30年、40年続く
それを見据えて地域を考えなければならない。
2040年までの高齢化をどう考えるか
医療、福祉、介護はどうするのか戦略的に考えられる職員を育てなければならない。
●絶対的な医療資源不足
爆発的な高齢者の増に対して絶対的なマンパワーが不足
入院病床などの医療資源も不足
●安心した老後を送るためには
急性期病院では、急性期医療、慢性期医療の一部、終末期医療の一部しかカバーできない。
残りの医療、福祉・介護、健康づくりが満たされて、はじめて、安心した老後を送ることができる。
自治体のマネジメントが必要
●多職種連携、地域の関係者との関わり
高齢化により医師や看護師だけで対応しきれなくなってくる。
高度・専門化、高齢者の急増で、医師や看護師だけでは、全ての医療を担う事が難しくなってきており、医療関係者の連携が必要になる。
チーム医療の推進
●在宅医療は患者を中心に様々な職種がサポートし患者さんの生活を確保
医師が中心ではなく、訪問看護師、ケアマネ、介護スタッフが重要な役割になる。
いろいろな人で支える事により、特定の人に負荷が行かないようにする。
●超高齢化社会=医療・福祉資源が絶対的に不足する社会にどの様に対応するか
●社会保障・税一対改革が目指す医療・介護サービス提供体制改革
高齢化社会を踏まえどの様なサービスをするのかを考えた改革
●市町村として問われる事
包括ケアシステムの最終的な責任は 国、地方、市町村のどこに責任があるのか
10年先、20年、30年先をみて包括的なしくみづくりが必要
自治体がリードして先進的に取り組んでは(重要では)
人の配置が必要、繋ぐ人材が必要である。
基礎自治体の職員がしっかり全体をリードする必要がある。
保健師であり、事務職員であり、10年、20年後の地域をリードする人材を育てることが、この10年間の重要な課題である。
国が動かないから、都道府県が動かないからとして、自治体は動かないという理屈はない。
一歩前倒しで積極的に進めることが重要である。
組織で動いているのであれば、組織をしっかりつくることが課題である。
地域包括ケア担当等人材や組織をどの様に作るか、
医療政策は都道府県が責任をもってやることであるが、共同管理でいけば、市町村にも一定の責任がある。
市町村で医療政策担当部署を作り、地域包括ケアと連携させるとか、
(今までは医療政策をしなくてすんだ。福祉政策は給付だけやっていればよかった)
医療と福祉を如何に繋いでゆく政策の策定場面になった時に、チェック・判断をしながら進めるられる、優秀な人材と担当部署が必要。
それを意識している自治体は10年先にも十分対応できる。
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