医療情報システムについて思うこと
連休中ブログをお休みしていました。
久しぶりに集中してプログラムを書いていました。といっても、昔の様に英文をキーボードでゴリゴリと入力するような仕組みではなく、全て日本語で対応できるソフトを使ってですが...
私のプログラミングの楽しみは、システムの規模に係わらず「自分がイメージしたとおりにコンピュータが動くこと」で、自分がなっとくするまで時間を忘れとことんやってしまいます。
最近は、Execl等の表計算でたいていのことは済ませますが、複数の人が使うようなシステムの場合、入力画面を準備したり、印刷処理の自動化等々誰でも使え、誤操作をしないようにするためにデータベース系のソフトを使います。
また、昔はソフトも充実していませんでしたので、オリジナルシステムを開発するというスタイルが主流でしたが、近年は、パッケージ・ソフトを利用し開発費用を抑える考え方、更には、データを管理するメインのコンピュータすら持たず全てインターネット回線等を通しセキュリティの充実した専用の大型コンピュータをレンタルし、システムを管理する人員の抑制、ハードウェア費用の抑制等行う考え方も増えています。
根室市の情報化に私が携わった期間(S63-H10)は、小規模自治体がオンライン処理によるOA化に取り組み始めた時代で、パッケージ・ソフトをメインに自治体独自の処理を組み込み、出力帳票を自治体仕様にあわせる様な手法が主流でした。
根室市の場合、住民情報システム、税情報システムのオンライン化に3、4年、その後、内部情報系の給与、財務会計システム、企業会計システムの開発等に3年ほどかかっています。
住民情報システムの導入時には個人情報保護の条例化(H1)にも同時に取り組みました。
約8年程かけ内部情報系のシステム化を終え、その後、地域情報化への取り組みに関するプランニングと情報公開条例の策定作業を手掛けました。
この間、システム開発経費は他都市に比べかなりの低予算でしたが、当時の議会審議等ではこれらの点を評価されることはありませんでしたし、高額な投資だとも指摘されています...
私を含め、当時、システム開発に携わったメンバーはほとんど連日深夜まで、時には、朝までという勤務が続きました。どこまで自前で準備するかで開発経費が相当違いましたので、自分達でできることは自ら行うという考えのもと、帳票設計や職員への操作指導、オリジナル部分のマニュアルの作成などを職員が対応し開発経費の抑制を図りました。
こういった情報も当時全てオープンになっていた事項ですが、中々取り上げていただけるような話題でもなく、誰からも評価されることはありませんでしたし、当時は、昨今の様に自治体が利益を得るという発想はありませんでしたが、私などはシステム開発費用の抑制=地域の利益という思いだけでやっていました。
また、社交辞令も含めてですが、当時一緒に開発に携わっていただいた業者の方々からは、職員で手がけた分を自分達が受注していたら数億円規模というお話をいただいておりましたので、その言葉を励みにシステム開発に携わりました。
コンピュータ関連の技術の進歩は、ドックイヤー(人間の7倍の成長)、マウスイヤー(18倍の成長)と呼ばれ、ものすごい勢いで進んでいますので、システム開発という言葉の意味もかなり変わってきているように思います。
今は、出来合いのパッケージ・ソフトをそのまま使い、そのシステムにいかに自分達の業務をあわせるかがポイントになると思います。このことでプログラムの開発費用は抑制されます。
また、コンピュータそのものの「能力アップ」と「価格低下」が進んでいますので、当時と比較して、いろいろな数値を示しても比較しようがないほど異次元のレベル・環境になってきています。
こんな思いや現状を踏まえ病院システム導入の問題に少しふれます。
コンピュータの性能の向上、価格の低下から考えると相当なコスト削減ができるはずですが、現実を見ますとコンピュータで処理する業務が拡大しており、更に、その処理間の連携が重要になってきていますので、システム化に対するベースの考え方をしっかり整理しなければ、導入経費の評価は難しいと思っています。
20年前と今でも基本的に変わらない点は、一番最初に行う「システム開発のための要件定義」で、「どこまでのシステム化」を行うかを整理する作業です。
病院のシステムは、医事会計システム、レセプト電算という料金計算やレセプト請求等の事務系のシステム化、医療現場の各種指示事項のシステム化(オーダリング)、更には、レントゲンやCT、MRI、エコー、胃カメラ等の検査画像情報のデータベース化等々様々な分野でコンピュータ処理されていたものを一つにまとめる、「総合医療情報システム」へシフトしてきています。
更に、情報通信ネットワークを活用し、大学病院や3次医療圏等の高度医療との連携、市内一次医療機関や介護との連携に活用するシステム化も必要とされています。
※市立病院も釧路脳神経外科や旭川医科大学との画像診断システムを既に利用しています。
「総合医療情報システム」の構築を「カルテの電子化」を中核として進めているケースが多いと思います。
この様な状況下ですから、市立病院の医療情報システムをどのレベルで行うかが重要ですが、
基本構想では、
1.オーダリングシステムの段階的導入
2.画像情報システムの整備
3.電子カルテの将来的導入
4.順番表示システムの導入
5.物品管理システムとの連動
6.インターネットの活用
となっていますので、電子カルテ化までは想定されていないものと判断します。
また、病院のシステム化については、医療情報システム導入検討委員会において検討するということになっていますが、4/26に示された新病院建設予算案から情報システム予算が外されていますので、現時点でどの程度の院内協議が進められているかは不明です。
民間のコンサルティング会社のプレスリリース資料ですが
http://www.seedplanning.co.jp/press/2009/2009081701.html
今後電子カルテの利用が伸びる可能性が示されており、今後、
100床から399床の中規模病院では、市場規模は900億円から1,100億円 350~450件
診療所向けの電子カルテシステムは、市場規模120億円から160億円 3,400~5,000件
が見込まれ、資料は2013年までですが、右肩上がりの傾向です。
※電子カルテの導入についても検討が必要と考えます。
※病院と診療所では導入価格に大きな差があります。
この資料が全てではありませんが、病院と診療所とではシステムの規模も全く違いますので、市立病院がどの程度のシステム規模を目指すのかによって導入経費にも違いがあるとうことは容易に想像がつきます。
そこで、どの程度のシステム規模にするかを考える必要があります。
市立病院は、入院対外来の比率が1:6で、一般的に言われいる1:2の構成からはかけ離れた病院ですので、単純に考えても入院患者300人規模の病院に近い処理を外来部門は必要になりますので、外来600-700人をストレスなく処理するシステムの整備が必要となります。
システムの規模を考える場合、オンライン処理件数とその集中度合いを考慮しなければなりませんので患者動向や診察窓口、会計部門の窓口数等々を細かく整理し、システムスペックを整理する作業が重要です。
また、画像情報システムの整備が計画に盛り込まれていますが、その使用方法次第で本体工事に関連するネットワーク(回線スピード)配線工事にも影響があると思います。(この点は何度も議会で質問しています)
カルテの管理方法次第で診察室の配置や職員の動きに大きな影響がありますので、カルテの電算化のタイミングも、実は、非常に重要です。
コンピュータシステムの活用、特に電子カルテの導入によって、職員の動線、患者の動線が大きく変わりますので、本来であれば、情報システム導入計画の策定作業は病院建設と同時進行で準備が進められ、基本設計・実施設計段階で綿密な調整がされなければならない事項です。
この様な事を踏まえ、今後、導入される医療情報システムの仕様や係る経費について調査を進めていきたいと思っています。
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