企業会計決算委員会・下水道会計から
下水道事業会計への一般会計繰出金の状況について質問しました。
非常に複雑な措置になっていますので、整理してみました。
最初に3枚の図をご覧ください。
平成17年度以降の一般会計からの繰出基準に基づく繰出金額です。
このうち、上段部分については、翌年度以降に繰り延べをして5か年の分割で繰入措置することになった金額です。
このグラフは、実際の年度別繰入額です。
茶色の部分が繰り延べ措置された繰出金です。H18はH17年度分、H19はH17,H18年度分と分割額がどんどん増えます。
繰延られた繰出金の累計額(下段が繰入不足額、上段が既に繰入れられた額の累計)です。
平成22年度末で13億7千万円の繰入不足額があります。
下水道事業会計と一般会計の間で、平成17年度から一般会計繰入金の繰延措置を行っています。
一般会計の財政悪化により、繰出基準に基づく一般会計繰入金の一定額を翌年度から5か年間分割して繰入する措置を行ったものです。
また、財政健全化法対策として、下水道事業会計は、平成19年度末に、一般会計、介護保険会計から計12億円を長期借入することにより流動負債から固定負債へシフトする措置を行っています。
この措置により下水道事業会計の不良債務(流動負債-流動資産)を圧縮したわけですが、当初の計画では、当初平成22年度末に長期借入金を一括返済する計画でしたが、22年度決算では、介護保険会計分2億円の返済措置しか行えず、 一般会計からの長期借入10億円については、27年度まで返済期限を延長しています。
平成22年度末の下水道事業会計の不良債務額は207,066千円
一般会計繰入不足額は 1,377,384千円
平成22年度末一般会計長期借入金は、1,000,000千円
一般会計からの繰入金がすべて繰入れられていれば下水道事業会計は、黒字決算になります。
現在のところ、平成23年度以降の財政収支試算がまだ示されていませんが
決算委員会での質疑では、平成22年度以降も繰り延べの措置を継続する計画とのこと。
結果、H26年度末の見込として一般会計繰出不足額は16億円を超え、27年度の一般会計繰入金は18億円台(長期借入の返済額10億円の相殺はあるが)になるとの説明がありました。
下水道会計の一連の措置は、一般会計本体の財源手立てとして行われており、9月の一般会計の借換債の元金償還3年延長といい、どうも全体像が見えにくい仕組みです。
今回取り上げた「繰り延べの措置」については、予算書や決算書には現れない数字です。
H17年以降下水道事業会計への繰出金を分割措置することで市全体の会計をやりくりする構図になっています。( 病院事業会計への繰出が大きいための措置か?)
大きな施設改修が発生しないことが前提ですが、下水道事業会計は平成28年度以降、一般会計繰入金は基準額ベースで1億円以下になる見込みです。
したがって、一般会計が繰入不足額を解消できるのは、28年以降になるものと考えます。そこまで引っ張っていこうと財政担当が想定してやりくりしたものと思います。
今回の質問では、こういった見えないやりくりを資料として提示するよう要望しました。
借換債の元金償還3年延長や下水道事業会計の繰出金繰り延べ措置等H26年以降の財政収支見通しが非常に不透明です。
今後、一般会計から次年度以降の財政収支試算が示されると思いますので、その結果を待って、もう少し深く分析し、報告します。
以上
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