市民参加の議会を考える その2
病院建設問題に関する行政の市民参加組織は、「市立根室病院整備市民委員会」(以下「市民委員会」)と「市立病院財政再建対策特別委員会」(以下「財政再建委員会」)です。
議会には、「市立病院建設等に関する特別委員会」(以下「病特委員会」)が設置されています。
新病院建設については、市民委員会と病特委員会の作業が同時進行で行われ、議会は、一般質問や予算・決算審査でも審議を行ってきました。
市民委員会から議会審議を問題視する意見がありましたが、市民委員会と議会が議論する様な場面はありませんので「民意」と「議会」の答えが異なることはあり得ることで、市民委員会に参加されている皆さんから「議会はなにを考えているのか」という意見がでてくることもやむを得ないものと考えます。
財政再建委員会は、病院の経営面に関する諮問機関ですから、起債対象の前提となる「改革プラン」や「収支見通し」等はこの委員会へ諮るのが流れだとおもいます。病特委員会はこの事も含め、病院建設計画が無理のないプランなのかを審議してきたわけです。市民委員会でも当然財政論議はあったものと思いますが、市民委員会と財政再建委員会の役割のすみ分け、交通整理が行政側に必要だったものと考えます。
そもそも、同じ課題を市民委員会、財政再建委員会、そして、病特委員会で同時に、単なる意見交換の場の様な設定で議論を続けることに無理があったのではないかと考えています。議会は、市長の諮問機関ではありませんが、この一年間の審議内容を振り返ってみると、行政内部の一追認機関の様な位置づけになっている様にも見えます。この事を議会が自ら変えていかなければならないものと、私は、考えます。
先日、病特委員会理事会に示された、平面図には、基本構想や積み残し課題の議論が進まない中で話し合いを続けた新病院の機能面に関する審議内容と比べると、患者家族等利用者のアメニティや利便性に関する部分が取りやめ或いは大きく削減になっており、さらには、患者用駐車場を利用するドクターヘリ用のヘリポートが盛り込まれたり、本来であれば、説明・再検討といった手順が必要な事項でありながら、簡単な説明で済ませ議論も交わさないまま市民委員会、病特委員会の承認を得ようとする進め方は、民意が反映された作業順とは言い難いのではないでしょうか。
明らかに、市民不在の作業であり、これまでの取り組みも、単に、市民参加でやっているとう行政サイドの既成事実のおぜん立てづくりに見えてしまいます。(そう感じるのは私だけなのかもしれませんが...)議会がもっとチェック機関としての役割を果たさなければならないと思います。
次に、特別委員会がこの病院問題をどこまで審議するかについても考えなければなりません。
今回、整備市民委員会同様、病特委員会も役割を終えたとする考えが病特委員長より理事会に提案がありましたが、これは、「議会が審議できるのは総合計画同様基本構想までとする」という考えに基づくものです。
昨年7月の段階で病特委員会としては病院建設に関する「基本構想」を承認しておりその時点で役目は終わったとしながら、役目を終える前に確認が必要であった3つの問題点について、積み残し課題と位置付け委員会を存続しました。
しかし、改選後に新たに設置された病特委員会では、市が資料提出をできなかったことから、三つの積み残し課題については審議することなく現在に至っていますが、この3つの積み残し課題についても、下記のとおりの判断をしています。
(1)療養病床の問題については、一般質問の中で、市長が市内の老健施設や特別養護老人ホームでの増床を持ってカバーするという考えが示されたので、特別委員会での審議は不要。
(2)一般繰出金、建設費用を含む病院の収支計画についても、起債申請が認められたことで、特別委員会での審議は終了。今後は、一般質問や予算・決算審査において議会論議が可能。
(3)議会審議は「基本構想」までであり、起債の承認により事業内容が認められ事業実施が可能となることから、病特委員会の役割は終了。
この事に対して新病院建設費を含めた収支見通の確認や一般会計繰出金の見通しについても委員会の役目として確認が必要だとする意見があり(私も同じ考えです)、現在、その調整中ということになっている訳です。
現状の手法では、議会審議のプロセスに「民意」が反映されているとは言い難い状況であり、また、議員間の議論も足りないと考えます。特に、議員間の討議の必要性を感じています。
病特委員会は公開であり、議事録も公開されていますが、市民が委員会室には入りづらいですし、膨大な発言記録を熟読精査するのも大変です、議会の審議経過が不透明といわれてもしかたのない状況と思っています。議会が組織として分かり易く資料を整理し、自ら広報活動を行う様な情報開示の手法を考えていかなければならないと思っています。
病院建設は根室市民にとって、最大の関心事であり、市民の命と健康を守るための大事業です。にもかかわらずズルズルと様々不透明なまま、年明けには着工です。そして、再来年の秋には病院が完成します。
病院の経営状態はどうなのか?医師や看護師の招へい対策はどうなのか?一般会計はいつまで病院の収支不足を補い続けることができるのか?根室の地域医療は大丈夫なのか?
といった市民不安を払しょくするような情報発信力が行政、議会ともに欠けていると考えます。
事業実施に伴う良いことも悪いことも含め様々な可能性をしっかり理解して、覚悟を持って、市民が一丸となって病院建設に取り組んでいきたいものです。
議会改革は、このようなことを踏まえ、市民参加の議会に求められる「議会報告会」「議員間の自由討議」、更には、議会が自ら「付属機関、調査機関の設置」、そして、「議会の議決事項の拡大」等を行っていかなければならないものと考えます。
また、議会が市民とどの様に向き合うのか、「組織」としての議会はどうあるべきか等についても答えを出していかなければならないと思います。
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