平成28年6月定例月議会一般質問 財政運営のあり方について その1
6月定例議会の整理をはじめております。
まずは、一般質問を行った各項目について、市長答弁を中心に報告します。一点目は、3月議会予算審査特別委員会で取り上げ、その後、文書質問を行った、土地開発基金の繰替運用の問題です。
私の考えは、10億円ものお金の処理が議会や市民の目に触れることなく、市長の裁量で行われていることに対する疑問と会計処理上、目的毎に予算措置を行い、議会の議決をえるべきであるとの判断の下、今回の「土地開発基金」→「一般会計」→「下水道事業会計」この三者間の会計処理について整理が必要と判断しましたので、質問項目として取り上げました。
(文書質問に添付した図一部修正)
1.財政運営のあり方について
(1) 土地開発基金の繰替運用について
① 土地開発基金の繰替運用における会計処理について
【質問要旨】
平成27年度末に下水道事業会計から一般会計に一括償還された10億円の会計処理について、そもそも、当初、どの様な会計処理を想定され、また、土地開発基金への運用戻しをどの様に行おうとしていたのか、平成19年に採った措置に対する考え方、その後計画も含め、改めて、伺います。
【市長答弁】
この会計処理は、平成19年度、一般会計が危機的状況にあり下水道事業会計繰出金の繰延処理等をおこなったことで、下水道事業会計の不良債務が増加したため、財政健全化法の対応から緊急措置として、この不良債務を解消するため、平成19年度に一般会計が土地開発基金10億円を繰替運用し、この10億円を財源として下水道事業会計に貸付けしたもの。
・土地開発基金から下水道事業会計への貸付ができないことから、一般会計が土地開発基金より借入し、たうえで下水道事業会計へ貸付けした。
・当初計画では、下水道事業会計が一般会計繰入金を償還財源とし、平成22年度末に一括償還を予定していた。
・一般会計の土地開発基金への積戻しについては、下水道事業からの貸付金の償還をもって積戻し計画であった。
・しかしながら、一般会計の財政事情により、下水道事業会計への繰出金が計画どおり支出できず、平成27年度末まで償還期間の延長を図った。
・平成27年度末に下水道事業会計貸付金については、下水道事業会計から一般会計に一括償還された。 ・この償還財源は、一般会計からの下水道事業会計繰出金である。
・一般会計から土地開発基金への積戻しは、全額一般財源での対応となるが、現状の財政状況では、短期的な解消は困難なことから、償還期間等の見直しを含め、今後、計画的に償還することした。
②土地開発基金繰替運用の現在の状況とその対応について
【質問要旨】
平成27年度末の一般会計と下水道事業会計の会計間処理では、財源措置を含め、何が行われたのか、その結果、会計処理上、何が解決され、どの様な状態となったのか、現在の状況に対する、率直な認識について、市長の見解を伺います。
また、27年度末の時点で、基金も含め、各会計の処理・措置すべきこと、その結果としての状況を明らかにして、少なくとも、平成28年度当初予算に対応策を反映させる措置が必要だったと考えますが、対応に遅れはなかったのか、市長の見解を併せて伺います。
【市長答弁】
・平成27年度末の会計処理についは、下水道事業会計貸付金の当初の目的である不良債務の解消がなされことから、般会計と下水道事業会計間の整理をおこなったもの。
・この下水道事業会計貸付金償還財源は、当初より一般会計繰入金をもって償還することとしており、平成27年度において、下水道事業会計に10億円を繰出し、その10億円もって下水道事業会計より貸付金の償還を受けた。
・この結果、これまでの土地開発基金、一般会計、下水道事業会計の3者間の関係は、土地開発基金と一般会計との関係へと整理された。
・当初、予定をしていた土地開発基金への積戻しは、一般会計の財政事情により困難なため、今後、一般会計が計画的に償還をおこなっていくものであり、このことにより、今後の財政運営においても、制約が生じるものと認識している。
・この対応策等についは、短期的な解消は困難との判断から、平成28年度予算では、利息分のみ計上をした。
・10億円の償還方法等含め、早期かつ計画的な解消を基本としつつも、土地開発基金の額等の見直しをはじめ、現在の財政状況や今後の財政需要等の考慮も必要があり、整理等に時間を要したことから、明確に方針を示すことができなかった。
・なお、繰替運用等につきましては、予算・決算情報などから読み取ることは、難しい側面もあることから、引き続き、適切な情報開示に努めてたい。
③土地開発基金の繰替運用における平成27年度末の対応の精査の必要性について
【質問要旨】
文書質問に対して、20年間(うち据置5年)で償還とご答弁いただいておりますが、この償還ルールは、基金の目的に沿った貸付に対する基準。 平成19年度に行った基金の繰替え運用は、下水道事業会計貸付金の財源として措置したものであり、目的の完了をもって、一度、精算するのが正しい取り扱いと考えます。
一般会計の財源不足は、別理由であり、会計処理上、改めて、確実な繰戻の方法等を定めた繰替運用を行うべきであり、27年度末の処理、現時点の判断自体の精査が必要と考えるが、市長の見解を伺います。
【市長答弁】
・土地開発基金における繰替運用については、土地開発基金条例施行規則第2条及び根室市財政調整基金等運用要綱第3条第1項第5号の規定に基づき、平成19年度に一般会計が借入したもの。
・また、土地開発基金への積戻しについては、下水道事業からの貸付金の償還をもって積戻しをすることとしておりましたが、積戻し財源は、全額一般財源での対応となる。
・財政事情により、短期的な解消は困難であると判断し、償還期間の再延長を含めた見直しを行った。
・今回の見直しでは、繰替運用の目的をこれまでの、運用要綱第3条第1項第5号の規定による「下水道事業会計への長期貸付け」から、財政状況等を勘案し、第8号に規定する「市長が特に必要と認めるとき」に、また、より計画的・確実に償還するため、償還方法についても、施行規則第3条に定める償還期間等に変更を行ったものである。
・なお、繰替運用の条件等の変更については、当初より一般会計が土地開発基金から貸付を受けており、先ほども申し上げた規定などを精査した中で、条件等の変更が可能と判断した。
再質問
※考えたを述べた後に
今回、市長答弁のあった内容については、一切、事前説明はありませんでした。
10億円ものお金の会計間移動です。一連の判断について議会、市民への説明が必要です。
繰替運用は予算の定めにより行うものとされています。借りる時も返す時も予算措置が必要です。
繰替運用の償還期限、償還方法及び利率は市長が定めるとありますが、その基金の運用・償還等の計画を明確にするためには償還表等の作成も必要とされています。それらの変更については、一連のルールにのっとり行うべきです。
市債発行や債務負担行為については予算書に計上されますが、基金の繰替運用については、そのルールはありませんが、市長が自らの責任において、その内容を明らかにする、明確に示すことが、財政規律でると考えます。
【質問要旨①】平成27年度末における会計処理について
会計処理上、目的をもって借りたものについては、計画に基づき「返すものは返し」、その為に必要な財源対策は新たな目的になりますので、「新たに繰替運用」の予算措置をおこなうべきと考えます。
既に処理は27年度で済んでしまったが、今後、見直すことはないのか、市長の見解を伺う。
【答弁】
・平成27年度末処理は、これまでの議論等を踏まえ、土地開発基金、一般会計、下水道事業会計の関係の整理と基金積戻しの償還方法等の見直しをおこなったところである。
・三者間の整理は、下水道事業会計の不良債務が解消され、当初の目的を達成したことから、償還の再延長は、すべきではないと判断し、整理をおこなったものであり、償還方法の見直しは、財政事情等により見直したものであ。
・今後は、土地開発基金の額等の見直しなど調査・研究すべきこともありますが、土地開発基金の繰替運用については、この度、変更しました償還計画に沿って、確実な償還に努める。
【再質問②】 土地開発基金の見直しと土地開発公社のあり方について
土地開発基金の額等の見直しを進めるとのことだが、早急に対応すべきであり、併せて、これまでも、何度と見直しを求めてきた、土地開発公社のあり方についても検討すべきである。
【答弁】
・土地開発基金の見直しについては、当市のおかれている状況等精査のうえ、他自治体の状況等も参考に、適性規模に係る研究・検討を進めて参りたい。
・また、土地開発公社については、北方領土問題という、他地域にはない「特殊な事情」を抱えるとともに、その状況に変化がないこと、これまでの廃止に重点を置いた指針が、「経営健全化と活用の両立」が前面に打ち出されたことなどを考慮すれば、『当面は存続すべき』と考えている。
・しかしながら、現状においては、保有地の貸付けを主な業務として運営しており、公社本来の業務である「公共用地の先行取得等」の見通しは、当面無いことから「経営健全化と活用の両立」に向け、土地開発基金の見直しと併せ、調査・研究に努める。
以上
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