落石地区津波防災講演会(記録)
昨日、落石小学校で行われた落石地区津波防災講演会に行ってきました。
講師は、群馬大学広域首都圏防災研究センター長・群馬大学大学院工学研究科教授の片田敏孝氏。
片田教授は5年前から落石地区の津波防災に取り組まれています。
今回のテーマは3.11東日本大震災を踏まえて「想定外を生き抜く力」。
~大津波から生き抜いた釜石市の子どもたち、その主体的行動に学ぶ~
(以下私のメモです)
・はじめに、津波災害に強い漁業地域づきりを目指す、これまでの落石地区での取り組みを紹介。
・津波防災に関する講演会、ワーキング、研究会等を継続することで1軒に一人でも津波の専門家を育てることが必要。
・落石地区ではその様な取り組みが行われてきており、模範的な地域になりつつある。
・3.11東日本大震災を踏まえ、北海道でも500年周期の大地震を想定した新しい津波被害・浸水予想が示された。
・それによるとマグニチュード9.1、震度6弱が想定され津波も20mから25mで、その第一波は20分位で到達する。(揺れが長ければ長いほど大きな津波が来る)
・このことをどうとらえるべきか?
・日本の過去最大の津波は 石垣島の85m(1771年八重山地震)
・今回北海道から示された数値も、あり得ること、こまでもあったこと。どう向き合うかが問題である。
・津波への対応は、海から遠く離れるのではなく、一刻も早く高いところに上がること。
・しっかりとした対応をすれば命は守れる。
・北海道から示された内容、これは想定が変わっただけであり、自然や地球の営みが変わったわけではない。
・1000年に1回のこと。これを恐れているだけではだめ。できる限りの事をすること。
・個人個人が向き合い、その日その日と向き合い、適切に備えること。
・自らの主体性をもって自分の身の安全を守ること。
・想定にとらわれることなく、最善を尽くすことが重要。
・その日に向け備えを重ねること。そして最善を尽くした結果を受けいれることである。
・石巻市では津波犠牲者0をめざし取り組んだ。
・初めは、大人向けの講演会などを続けたが、参加者は関心のある一部の者、多くは無関心。
・無関心の親の判断で子供たちが犠牲にならない様に、子供のたちの津波学習をはじめた。
・この子供たちが10年経ては大人に、更に10年経ては親になる。
・災害文化として定着させることを目指した。
・3.11東日本大震災は「想定外」だったのか?
「想定にとらわれすぎた防災」
(想定を超えた→想定が甘かった→想定を見直そう)
人為的に守れば守るほど、住民の防災に対する脆弱性が高まる。
(防災設備の整備→被災頻度の低下)
災いをやる過ごす知恵の喪失
防災における行政依存の高まり
行政に守られるという過信
「あの防潮堤があれば大丈夫」、
「ハザードマップの浸水想定地区外だから大丈夫。」
3.11で何が起きてしまったのか?
※わかりづらいと思いますが、
上記の赤か緑の範囲がハザードマップで示された津波浸水予想地区。
※3.11の大津波では、その区域の外で多くの方が犠牲なった。
※片田教授が指導された小中学校もマップの浸水予想区域外であった。
※子供たちは全員避難した。
↓
・想定外を生き抜く力を育む姿勢の防災教育を!
・批難の三大原則
大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、行政に委ねることなく、自らの命を守ることに主体的たれ
この信念に基づく3つの原則
「想定にとらわれるな」、「最前を尽くせ」、「率先避難者たれ」
岩手県釜石市の小中学生が長年の津波避難に対する取り組みの結果、登校中の児童約3,000人のほぼ全員が無事に避難しました。「釜石の奇跡」として報道された、その経過を詳しくご説明いただきました。残念ながら犠牲となった5名の小中学生のそれぞれの理由についても詳しく説明いただきました。ご冥福をお祈りいたします。
「子供たちが10年経ては大人に、更に10年経ては親になる。災害文化として定着させることを目指した。」この言葉が大変印象に残りましたし、改めて、防災教育の大切さ、教育・文化への目標を持った、地道な取り組みの重要性を感じる講演でした。
有難うございます。
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